【日本語訳】ベーシックアテンショントークン(BAT)ホワイトペーパー全文
ベーシックアテンショントークン(BAT)ホワイトペーパー全文の日本語訳です。ブロックチェーンを活用した様々なプロジェクトのホワイトペーパー日本語訳を閲覧できます。

最後に、広告自身によって生み出される関心があり、それをP aとします。たいていの場合、これは大きなコストではないですが、実際にはこれが最も広告主によって価値づけされているので、独自の項目としています。もしも、広告が関連するものだったら、P aはネガティブにさえなるかもしれません。あるユーザーは特定の広告を見るのが好きです。そのため、現在のオンライン広告エコシステムにおけるソーシャルコストの合計は以下の式で表されます。
Pca = P a + P d + P p + P s
広告主によって実際に価値づけされた価値であるP aは、その他の要因を取り除くことができれば、常にP cを下回ります。匿名化機能のあるトークンベースのシステムは完全にP pを取り除きます。システムがサービスを提供し、広告自体を表示するためにネットワークトラフィックが必要となるため、トークンシステムによって、P dを完全に軽減することはできません。サービスのためにトークンを転送するのに必要なのは数バイトにすぎないので、実際はこのコストは広告のコンテンツのダウンロードにかかるものだけとなり、かなり改善されます。暗号プロトコルとゼロ知識証明を使い、同様によく知られたパブリッシャーと広告主を使うことでP sを大幅に下げることができます。
そのため、適切にプライバシーを保護するトークンシステムの式は以下となります。
Pca (BAT) = P a +PdBAT+PsBAT
最初の式を要約すると
Pca(BAT) = P a +PdBAT
残ったソーシャルコストはパブリッシャーのプレミアムコンテンツや関連コンテンツのアプリのために使うことができる報酬をユーザーに与えることで、減少、もしくは排除することができます。ここで提示しているシンプル化されたゲーム理論のケースでは、パブリッシャーはBATを使うことができる唯一の空いてなので、パブリッシャーは結局この差額を回復することができます。ユーザーが他のパブリッシャーにトークンを支払うことができる、より広範囲のケースでは、パブリッシャーが手に入れる利益はユーザーが手に入れるレートに紐づけられています。提案されたスキームにおける、広告イベントにトークンが割り当たられる方法では、パブリッシャーは現在受け取っている割合よりもはるかに大きな割合の広告費用を受け取ります。
また、ユーザーが使用用途のある何かを受け取ることができるので、自身をもってPca (BAT)はゼロ、もしくはマイナスとなり、よりユーザーがパブリッシャーのコンテンツを視聴するようになると言い切ることができます。もしかしたら、ユーザーの関心に対して支払われるトークンはパブリッシャーの「カンパニーストア」内でのみしか使うことができないと主張する人がいるかもしれませんが、トークンが保管され、様々な方法で使われるので、マイルやポイントのように、ユーザーにとって価値があるものとなります。
このエコシステムにおいて、広告主が与えられた関心に対して支払うコストは、その関心に求められる関連するソーシャルコストがより少なくなるので、小さくなるべきです。さらに、広告主は本当に広告が関連するユーザーに届けられたかを確認するために仲介人に支払うソーシャルコストを払う必要がなくなります。このシチュエーションはパブリッシャーにとってより好ましく、ユーザーをより幸せに、より「生産的」にし、広告主は広告費用からより多くの利益を受けられるようになります。
まとめると、BATシステムは関心の経済において、ブラウザのユーザー、広告主、パブリッシャーのコスト低減を提供することを示すために、Coaseの定理を使ってきました。広告主はより多くのユーザーから関心を払われ、ユーザーのエンゲージメントのさらなる証明も得ます。パブリッシャーは広告収益のより大きな割合を受け取ります。ユーザーは関連する広告と広告収益のシェアからさらなる経験を受け取ります。
7.3.BATの安定性の分析
2016年にオランダの経済学者である、von OordtとBoltによって、仮想通貨取引レートのためのモデルが 提唱されました[27]。このモデルは、仮想通貨の価値は決済を行うための仮想通貨のユーティリティ、仮想通貨の供給を制限するための将来的な投機に関する判断、ユーザーへの普及と商人が仮想通貨での決済受け付けを採用するための要素の3つの要因によって構成されていると提唱しています。
この主張はFisherの1911年に行った観察における、投機家は将来ユーティリティが高くなることに期待して、循環から資金を抜くことで、効率的に資金の供給を制限するという結果を活用しています。この理論による変動は特にBitcoinやBATのような発行上限が決まっている通貨に該当するので、トークンセールの価格設定や仮想通貨の安定性分析において重要な要素となる可能性があります。
発行上限の決まっている通貨でのシンプルな経済システムをM BATとすると取引量は以下の数式で表すことができます。
PBATt TBATt=MBATt VBATt
BATの速度を VBATtとした場合、定義された期間t内にBATの各単位がサービスの購入に使用される平均回数とします。 VBATtはtという期間内にBATで購入されたサービスの量で、 はサービスの重みづけを行った価格です。
交換レートを$の条件に挿入すると以下のようになります。
関わっている全当事者にとって、経理を行う単位はこれまでの法定通貨とみなすことができるので、私たちは取引レートを$と定義し、上記の式に投入をすると以下のような式になります。
サービスの転送に使われない通貨の端数を考慮したら、実際に決済に使われる通貨の端数の速度をVBATt と定義することができます。そして、トランザクションに使われないBATの枚数は とZBATt 定義します。
私たちの経済における資金の速度全体であるVBATt は、サービスの移転のために使われた単位と使われなかった単位の平均となるので、以下のようになります。
これらを取引レートに入れると以下のようになります。
つまり、ある期間tにおけるBATトークンの取引レートは、購入されたサービス量に比例し、同期間において取引使われなかった通貨の枚数に反比例します。この方程式は、流通している枚数が不足すると取引レートが上がるという考えを要約したものです。
ここからは取引のために使われなかったBATの端数について議論したいと思います。ZBATt の一部はホルダーが保有していることを忘れてしまった少ない枚数の場合もあります。それ以外にも、法定通貨での決済における取引の遅延によるものかもしれません。全体を通じて、使われていないトークンのホルダーは、現代のリスク管理理論の観点から将来のトークンの有用性を評価する標準的な方法を持っています。
トークンは利子を与えないので、彼らが のポジションを保有することに関連する割引条件があります。
Rは法定通貨での金利割引です。BATを保有する将来の期待値をBATのポジションの将来の期待値の合計とみなす場合、以下の式になります。
この金利割引条件で、(Rが割引率を決めている中で)BATでの将来のポジションのボラティリティ はリスク回避タームγによってスケールされる時、私たちは現在のポートフォリオ理論から効率的な境界に達します。
この標準的な結果を使うことで、私たちは与えられた期間内に個人によって保有している最適数を導き出すことができます。
あると規定の期間tでBATを保持しているすべての人々を考慮すると、後で使用するために保持されている経済的に効率的な枚数のBATが求められます。
この値はネガティブになることがないので、私たちはBATを保有している人は以下のポジションを保有しているとみなすことができます。
それゆえ、私たちの上記の関係を使うと、BATエコノミー内における転送速度と利子、そしてBATの期待される将来の価値の間での関係性を導くことができます。
したがって、割引期待値が現在の取引レートの仮定値を超えると、人々はBATを保持します。そのため、将来期待されるBATの価値を表す関数の取引レートは以下の式になります。
それゆえ、BAT保有額は、割引将来予想取引レートからBATの将来価値の不確実性に対するリスクプレミアムを差し引いたものです。
モデルが成立する場合、1と2を使用してBATの需要と供給を定義できます。 BATの場合には時間依存性はないので、時期に応じて変化する取引レートは、BAT取引およびその将来の有用性についての見地から容易に理解することができます。BATのトランザクションが増加するにつれて、取引レートは将来のユーティリティに対する期待よりも、トランザクションによって支配されます。この変化は成熟している仮想通貨や他のインハウスのトークンシステムでも確認されてきました。モデルは不正確ですが、このモデルはトークンが仲介する経済における長期的な価格の安定を主張しています。