Ethereumの抱えている問題を解消!?Ethereum2.0の技術と構造とは
Ethereumが抱えている問題を解決するために新しい技術を導入し「Ethereum2.0」へアップデートを予定しております。 今回はEthereum2.0の概要についてまとめました。

Ethereumの開発ロードマップ
Ethereumの開発フェーズは以下の4つに分かれています。
1.Frontier
2.Homestead
3.Metropolis
4.Serenity
それぞれのフェーズ内でもステップが分割されており、Metropolisはビザンチウムとコンスタンティノープルの2つのステップに分かれていました。
2019年3月1日にコンスタンティノープルのアップデートが行われました。
そして、2018年11月のDevcon4でSerenityのロードマップが発表されました。そして、Serenity開始後のEthereumのことをEthereum2.0と呼んでいます。
Ethereumの抱えている問題
1. スケーラビリティ
現在、Ethereum上では日々多くのトランザクションが行われていますが、処理性能が不足しているため、トランザクション手数料の高騰、トランザクション実行の遅延といった問題が発生しています。
これはEthereumの処理性能が約15TPSほどしかないことが原因となっています。
そのため、Ethereumの処理性能向上策として様々なソリューションが提案されています。
2. 環境への影響が大きい
EthereumのPoW(プルーフ・オブ・ワーク)によるマイニングを行うには大量の専用機器と電力が必要となり、環境への負荷が大きいと言われています。
一説には、年間でビットコインやイーサリウムのマイニングのためだけに全世界でスロヴェニア1国で消費される電力と同量が消費されていると言われています。
このため、仮想通貨のマイニングはエネルギーの無駄遣いや環境破壊を行っていると批判されています。
3. マイニングの寡占
Ethereumの抱えている問題として、マイニングプールによる寡占化も挙げられています。現在、上位3マイニングプールによって、ハッシュパワーの51%以上が占められています。
さらに、これらのマイニングプールの大半が中国系のため、中国の影響力が大きいことも懸念されています。
Ethereum2.0は何を実現するのか?
では具体的にはEthereum2.0になる事で、何が変わるのでしょうか?
大きくは「処理性能の向上」「消費電力量の大幅削減」「誰でもブロックの発行に参加できるシステム」の3つだと言われており、それを解決する技術を次に解説していきます。
導入される技術
1. シャーディング
Ethereum2.0では処理性能を向上させるために、シャーディングと呼ばれる技術が導入されます。
シャーディングとはこれまでネットワークに参加している全ノードの合意によってブロックの検証などを行っていたのを、ノード群を分担してグループに分け、トランザクションの承認作業を並列化する事でトランザクションの検証をより効率的に行う事を目指しています。
例えば、全体が10の仕事量があると仮定して、それを5人で作業すると1人が2つの仕事をこなせばいいというイメージです。シャーディングによって、小さなグループで承認作業を行うようにすることで、処理性能を向上させます。
2. Proof of Stakeへの移行
これまでのProof of WorkからProof of Stakeへの移行が行われます。
Proof of Stakeは一定量のETHホルダーだったら、誰でも参加することができます。Ethereumでは、32ETH(約65万円)を保有していれば、ステーキングに参加することができます。
Proof of Stakeでは、大規模なマイニングマシンなどが不要となるため、消費電力量は大幅に削減されます。
ただし、Proof of StakeにはProof of Stake特有のセキュリティ上の問題があり、Casper FFGなどといったセキュリティ対策を施した提案が行われています。
32ETH持っていれば、誰でも特別な機械などを準備しなくてもステーキングに参加することができるようになります。
※大規模(3200ETH以上)にステーキングを行う場合は、別途専用のサーバなどが必要になる場合もあります。
Ethereum2.0の構造
Ethereum2.0では最低5年間はセキュリティなどの理由から既存のPoWブロックチェーンと新しいEthereum2.0のブロックチェーンであるBeacon Chainが並行して存在します。
簡単に言うと、Shard Chainのシャード(小さなグループ)はBeacon Chainで管理されます。
現在のネットワークと同様にEthereumもレイヤー構造になります。
大切な事としては、Ethereum2.0はEthereumよりも複雑になることです。
ロードマップ
Ethereum2.0では先ほど紹介した技術を段階的に導入しようとしており、以下5つのフェーズに分かれています。
フェーズ0:新しいブロックチェーンであるBeacon Chainのローンチ、PoS機能のCasper FFGの実装(2020年1月)
フェーズ1:Shardingの実装、Beacon Chainとそれぞれのシャードを繋ぐためのCross-Linkの実装(2020年内)
フェーズ2:eWASMの実装、コントラクトが扱えるようになる。(2020年-2021年)
フェーズ3:ライトクライアントの実装
フェーズ4:シャード間のトランザクション
フェーズ5:メインチェーンとの結合
※eWASMはEthereum2.0において、新しくスマートコントラクトを実行する仮想マシンのことを指します。eWASMによって、Ethereum上での開発が大幅に簡単になります。
まとめ
Ethereum2.0では、現在のEthereumが抱えている問題を解決するために新しい技術を導入します。
現在抱えている問題「処理性能が低い」「マイニングが寡占化」「環境に悪影響」の問題を解消するための技術として、「シャーディング」と「Proof of Stake」2つの技術を導入します。この技術の導入は5フェーズで行われ、完了するのは2024年以降と予想されています。