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違法漁業から水産資源を守るブロックチェーン?漁業のトレーサビリティとは

漁業業界の抱える最大の問題が違法漁業です。違法漁業によって正規の漁業従事者の利益を損なうだけでなく、乱獲などによって限りある水産資源が失われるかもしれません。この問題に対しブロックチェーンによって解決策を打ち出している企業や団体があります。今回は違法漁業の実態とブロックチェーンによる解決策を紹介します。

フロック博士

突然じゃが、タカシはIUU漁業という言葉を知っておるかの?

タカシ

IUUって、何かの略称か頭文字を取った言葉だよね。どんな漁業なの?

フロック博士

うむ。IUU漁業は世界の水産資源を脅かす国際問題のひとつなんじゃ。世界中の国や機関が対策を講じているが、ブロックチェーンを応用することでIUU漁業による被害をなくす取り組みも期待されているのじゃ

タカシ

具体的にはどんなアプローチをしているの?

フロック博士

順を追って紹介していこう。まずはIUU漁業について説明するぞい

IUU漁業とは?

IUUは「Illegal Unreported and Unregulated」の略称です。日本語に訳すと「違法・無報告・無規制」漁業となります。

国際法や国内法に違反した漁業は、IUU漁業の最たる例です。

ほかにも漁獲量の無申告および過少申告、旗国(その船舶が船籍を所属させる国家。漁船は船尾に所属国の国旗を掲げねばならない)のない漁船による漁業、地域漁業管理機関(RFMOs)の管轄する地域での、認可されていない漁船による漁業などもIUU漁業に含まれます。

普通、漁業は旗国の法律や特定の機関による科学的根拠に基づく規制によって安定的に、かつ生態系に影響が出ないよう行われます。

一方でそういった制約を無視したIUU漁業によって、限りある水産資源が無秩序に乱獲され、その数を大きく減らしています。IUU漁業を野放しにすると、各国や各機関による管理体制が実効性を失ってしまいます。

世界自然保護基金(WWF)によると、2011年時点で世界の水産資源のうち、各国の管理下におかれた健全な状態の水産資源はわずか10%しかありません。程度の差はあれ、ほとんどが枯渇の危機を迎えている計算です。

またIUU漁業の問題は漁業そのものに留まりません。IUU漁業に非合法な経路で雇用した奴隷を従事させたり、漁船を使って武器や麻薬を密輸させたりと、人権問題や安全保障の問題にまで発展しています。

2016年6月にIUU漁業の取締を強化する、「違法漁業防止寄港国措置協定(PSMA)」が発効しました。加入国は寄港する漁船に入港許可を出す前に漁業記録等を求めることができ、IUU漁業が疑われた場合は臨検や取り調べを行うことができます。

入港を拒否された漁船の上方はPSMA加入国で共有され、具体的な抑止策を共に講じることができます。日本は2017年にPSMAに加入しています。

PSMAのほかにもIUU漁業対策には国内法・国際法の法執行の徹底や水産資源の管理を強化し、IUU漁業による漁獲物を市場から締め出すことなどが挙げられます。

しかし海洋は広大であり、IUU漁業の取り締まりはうまく行っていないのが現状です。

IUU漁業対策のための漁業×ブロックチェーンの活用事例を紹介

IUU漁業対策で重要になるのが「トレーサビリティ」という考え方です。

日本語に訳すなら「追跡可能性」とも言うべきもので、漁業で言うなら産地や流通過程などを簡単に追跡できるようなプラットフォームを作ることで水産資源の出自や品質を保障できるようになります。

もしIUU漁業による水産資源であれば追跡ができないために即座に判明するというわけです。

ですが漁業・水産の分野は「世界でも最も大規模な産業」のひとつです。末端の小売りやサービス業まで含めればその範囲はあまりにも広すぎます。流通経路は複雑で、国境を越えることもあるため、中央集権的なネットワークによるトレーサビリティの管理には限度があります。

そこでブロックチェーンを活用することによってトレーサビリティを実現するのです。実際の活用事例を見ていきましょう。

サプライチェーンにブロックチェーンを応用した「Fishcoin(フィッシュコイン)」

漁師が魚を捕らえ、メーカーへ出荷し、物流業者へ通じて小売りなどへ運び、エンドユーザーである私たちの元へ届く、というような複数の企業によって構築された物流システムを「サプライチェーン」と呼びます。

漁業のサプライチェーンに着目し、ブロックチェーンを応用することでトレーサビリティを実現しているのがFishcoin(フィッシュコイン)です。

フィッシュコインではサプライチェーンを構成する個人や企業が共通のプロトコルを利用します。まず漁師や養殖業者といったサプライヤーが産地や漁獲量など必要な情報を記録します。

仲介業者はプロトコル内のマイクロトランザクション(アプリ内課金)によってサプライヤーや自分たちより前の段階にある仲介業者によって情報を買い、さらに自分たちより後の段階にある業者へ同様にデータを売ります。

フィッシュコインを導入することでブロックチェーンを利用した、透明性が高く、改ざんの難しいデータで産地などを記録することができ、水産資源のトレーサビリティが実現します。

またサプライヤーや仲介業者はマイクロトランザクションによって利益を得られる新たなエコシステムを確立できます。サプライヤーの利益を保証し、仲介業者が利益欲しさにIUU漁業に手を染めるリスクを抑えることが可能です。

一方フィッシュコインの仕組みでは、サプライチェーンの最下流に位置する小売業者などにマイクロトランザクションの経済的負担が集中します。

一見不平等な仕組みですが、産地が偽装されるなどIUU漁業によるリスクは最下流へと集中します。裏を返せば、トレーサビリティによる利益も最下流が最もよく享受できるということです。最も多くの利益を得られる者が経済的な負担を抱えるという、合理的なシステムとなっています。

マグロの保全に務めるBumble Bee Foodsの事例

2019年3月、アメリカで缶詰の製造などを手がけるシーフード大手のBumble Bee Foodsは、自社で扱うキハダマグロのトレーサビリティ管理をブロックチェーンで行うことを発表しました。

具体的にはマグロを利用した製品のパッケージにQRコードをアプリで読み込むことで、産地やマグロの大きさ、流通過程などを確認できるようになります。またマグロのサステナビリティ(持続可能性)やIUU漁業に関与していない真正さや公正さなども確認可能です。

マグロは日本のみならず、中国やアメリカ、ヨーロッパなどで広く食べられる、最も価値の高い水産資源のひとつです。マグロの水揚げ国は70ヵ国にも及んでおり、専用の管理機関などもありますがIUU漁業による被害も後を絶ちません。

Bumble Bee Foodsは自社でマグロのサプライチェーンをブロックチェーンで管理するだけではありません。マグロのIUU漁業を食い止める「Tuna 2020 Traceability Declaration」の一員として、IUU漁業対策に取り組んでいます。

漁業大国日本の再興を目指すフィッシャーマン・ジャパンの事例

宮城県石巻市の若い漁師たちが集まった一般社団法人フィッシャーマン・ジャパンは、ICOを通して国内の水産資源を適切に評価するための経済圏の確保を計画しています。

ブロックチェーン技術によって品質評価やトレーサビリティのシステムを構築することでIUU漁業対策はもちろん、国内の品質のよい水産資源を適正に評価してもらうことができるようになります。

更に発行したトークンを決済した店舗をメディアで取り上げたり、トークン売買で得た利益でフィッシャーマン・ジャパンが取り組んでいる新たな漁師を育成する「TRITON PROJECT」を推進する予定です。

IUU漁業による被害も重要ですが、日本は1984年をピークに漁獲高も水産業従事者も減少を続けています。確かな教育を受けた漁師などを養成し、プロジェクトを通じて水産業への理解を深めることも間接的にIUU漁業の抑止につながるでしょう。

 

タカシ

IUU漁業をなくすためにはトレーサビリティが大切なんだね

フロック博士

もちろん法的な取り締まりや、ほかにも技術的なアプローチはされておるがの。ただトレーサビリティを実現することで、ワシたち消費者にも利益がある。流通経路が保証され、安全なものを選ぶことができるからのう。もちろん反対に価格を重視して、経路の怪しいものを選ぶ自由も保証される。IUU漁業対策として、後者は推奨できないがのう

タカシ

ブロックチェーンを利用することで、自分の意思や方針に従って魚を買うことができるようになるんだね

フロック博士

サプライヤーである漁師、販売に責任を持つ小売店、エンドユーザーである消費者のいずれにも利益をもたらす、それが漁業におけるトレーサビリティなんじゃ

まとめ

有限である水産資源を守り、計画的に漁業を行う上でIUU漁業は最大の障害です。各国や国際機関は法的な枠組みを整備したり、レーダーなどの技術的な施策を通じてIUU漁業への対策を強化していますが、広い海を完全に取り締まることはできません。

ブロックチェーンを利用したトレーサビリティは多くの分野で応用されていますが、漁業においても正規の商品とIUU漁業による違法な商品を区別するために期待されています。今後はより注目されていくことでしょう。


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