プライバシーコインとも言われる暗号通貨「匿名通貨」とは?
プライバシー重視の暗号通貨とされる「匿名通貨」について解説します。 マネーロンダリングや脱税にも使われると問題にもなっている通貨は一体どんなものなのでしょうか?

匿名通貨とは?
海外では、プライバシーコインとも言われ、アドレスや送金した数量がわからない通貨の事を特に指します。有名な匿名通貨としては、Monero、Zcash、Dashなどがあります。
元々はコインチェックにも上場していましたが、金融庁からの指導によって上場廃止されました。
ちなみに仮想通貨取引所から盗まれたNEMはダークウェブでMoneroに変換されました。
実際にどう匿名なのか?
Ethereumではどのアドレスが、どのアドレスに、どれだけのETHなどを送ったかが公開されていますが、Moneroを始めとする匿名通貨ではこれらの情報が非公開になっています。
匿名化技術の代表的な種類
匿名化技術① リング署名
送金をしようとする人たちのグループで1回限りの送金用アドレスを発行します。
これによって、ブロックチェーン上でどのグループの人が送金をしたかはわかりますが、そのグループ内の誰が送金したのかはわからないです。
Moneroに実装されている技術の1つで、トランザクションを送ったという証明を発行できるサービスが提供されています。
匿名化技術② ゼロ知識証明
ゼロ知識証明とは、ある人(証明者)が別のある人(承認者)に対して、与えられた情報が「真実である」ということ以外の情報を相手に与えずに、その情報が実際に「真実」であることを証明する手法のことです。
ブロックチェーンで言うと、送金者、受取人、送金額を明かすことなく、トランザクションが正当であることを証明します。
ZCashで採用されている技術で匿名性が高いことで知られています。
匿名化技術③ コインジョイン
複数のトランザクションをまとめることによって、送金元と送金先の対応がわかりにくくする技術です。ただし、あくまでわかりにくくするだけで、ブロックチェーン上で解明することは可能です。Dashで採用されている技術です。
なぜ匿名化通貨が求められるのか?
マネーロンダリング、脱税、テロ資金供与、闇取引などに使われるため、各国当局からはかなり警戒されている匿名通貨ですが、多くの人が匿名通貨を求めるのはプライバシーが理由です。
Ethereum、Bitcoinなどだとトランザクションを追っていくことでどのアドレスが誰のもので、どれだけの資産があるかをある程度特定することが可能です。
つまり、財布の中身も銀行口座の送金額、残高まで全てが全世界に公開されてしまっている状態です。こういった情報を人に見られたくない、知られたくないという人から匿名通貨は支持を集めています。
NY州などはZcashの上場を承認しており、BitcoinやEthereumに匿名性を持たせる技術も開発されており、プライバシー保護の観点からも匿名性技術への需要は増えていっています。但し、金融庁は基本的に認めない方向性です。
匿名通貨の比較
Monero | ZCash | Dash | |
匿名技術 | リング署名 ステルスアドレス 秘密取引 |
ゼロ知識証明 | コインジョイン |
匿名化の選択可否 | 不可能 | 可能 | 可能 |
匿名性の強度 | 強 | 強 | 中 |
時価総額(2019/7/17時点) | ¥133,347,721,255 | ¥50,063,084,799 | ¥95,694,878,361 |
コンセンサスアルゴリズム | Proof of Work | Proof of Work | Proof of Work |
その他の匿名通貨
Verge
2017年1月から12月の値上がり率が最大だった通貨です。匿名化は選択式で、ステルスアドレスが実装されています。他にも、TORでIPアドレスを隠せるようにはなっていますが、ZcashやMoneroよりも匿名性は劣ります。
Beam
Mimble/Wimbleという技術を実装した通貨で、リクルートからの出資を受けています。匿名性の強度はZcashやMoneroと同等です。
Grin
Beamと同じようにMimble/Wimbleを実装している通貨です。Beamとの違いはボランティアで運営されています。