ブロックチェーンで経歴詐称が無くなる?人材業界に新たなプラットフォーム
高度経済成長期においては、終身雇用制度が各企業にあり大学を卒業し、就職をしたら基本的には転職せずに最初に就職した企業に定年退職になるまで勤め上げることが常でしたが、現代ではライフスタイルや価値観が多様化しており、パラレルワーカーやノマドワーカーなどの新たな働き方も誕生し、転職や独立が当たり前の世の中になりました。 それと同時に人材紹介事業も数多くの企業が参入しており、日々様々な人が就職や転職活動のために利用しています。 今回はこの人材事業×ブロックチェーンについて幾つか実際のプロジェクトも織り込みながら活用方法についてご紹介していければと思います。


タカシくん。人材業界にも問題は潜んでおるのじゃが、何か思いつかんかの?

そうだな〜。面接の時に嘘の経歴を履歴書に書いたりするとか?

経歴詐称は立派な解雇事由じゃが、それも一つの問題じゃの。そこまでいかなくとも多くの人間が経歴書を盛って書くのじゃ。その真意を確かめるために書類選考から面接も行うのじゃが、採用した後に「違ったな…」と思うことも仕方ないがあることなのじゃ。

そうだよね。面接が上手な人もいたり、そもそも初対面の人を1回や2回の面接で判断するのは難しいよね。

その通りなのじゃ。しかし、ブロックチェーンを活用することで嘘のない履歴書を作成できるとしたらどうじゃ?

なるほど!履歴書が確実に正しいと言えるなら面接もスムーズだし、人材のミスマッチも減りそうで人事部の人は助かるね!

その通りじゃ!今回はそんな人材業界におけるブロックチェーンの活用事例について説明していくぞ!
人材業界における課題
人材業界における課題には、以下のようなものが挙げられます。
経歴の誇張表現や詐称
就職活動や転職活動時により良い企業へ転職するために少しやっただけ、サブ的なポジションで行ったことでも主体的に行ったかのように誇張した記載を行うことや、やったこともないプロジェクトをでっちあげて記載する詐称も往々にして発生しています。
これらが人材のミスマッチを引き起こす原因となっています。
雇用プロセスの遅れ
基本的には書類審査で通過した方とは対面で面接を行うのですが、その際に経歴に嘘が無いか、人柄、仕事に対する姿勢などをチェックします。
採用する側も転職者については即戦力として、新卒入社の方については潜在的な伸びしろを判断したいのですが、慎重になればなるほど雇用プロセスが遅れてしまいます。
また、後述のエージェント等、雇用する側とされる側の間に企業や人が多く入り込むことでコミュニケーションコストが余計にかかり遅れることもしばしばあります。
エージェントによる高い成功報酬
エージェント経由で転職した場合、大体想定年収の30%を成功報酬として企業側は支払います。このエージェント費用は、企業の採用コストを押し上げています。
また、エージェントと内定者が共謀し、成功報酬が確定する半年を経過後に退職を繰り返す人もおり、時折詐欺罪で逮捕されるという事件も発生してしまいます。
求人詐欺
企業側は基本的にマイナスイメージになる話は面接中にすることはありません。
したがって、入社してみて初めて内情が分かるのですが、いわゆるブラック企業だったり、実際の求人情報を全く異なる職務に従事しなければならなくなったりすることもあります。
人材業界におけるブロックチェーン活用方法
それでは、前述の人材業界における課題をどのように解決することができるのかご紹介していきます。
【経歴の誇張表現や詐称】
ブロックチェーンにより嘘のない経歴を管理することができ、それが誰でも、いつでも閲覧することができるようになれば嘘のない経歴を担保することができるのではないでしょうか。
特にブロックチェーンにアップロードした経歴書をどのように嘘のない経歴書であると担保するかは検討する余地がありますが、一つ考えられるのは第三者が承認するプロセスを挟むことで実現が可能になると考えられています。
【雇用プロセスの遅れ】
ブロックチェーン上でいつでも、どこでも、誰でも経歴書を閲覧することができ、しかもその経歴書が嘘のない経歴書であるとすれば、企業が率先してリファラルでの採用を行うことができるため、求人媒体やエージェントを利用する必要がなくなります。
また、スキルマッチしているか否かは経歴書で判断が可能になるため、面接時には人柄や姿勢など企業文化にマッチするか否かのみ判断すればよくなるため雇用プロセスは格段に速くなります。
【エージェントによる高い成功報酬】
前述のとおり、ブロックチェーン上で経歴書を確認することができればエージェントによる斡旋も不要となり企業側が能動的に人を探すことができます。
したがって、エージェント経由での採用コストを掛けずにスキルマッチした人間を採用することが可能になります。
【求人詐欺】
パブリックブロックチェーンを活用することで、取引の透明性を確保することで、全求人案件を公に管理することができます。そうすることで、企業側も嘘のない求人情報を提供するようになり、入社した後に「求人情報と違った!」という事態を発生することを抑えられるのではないでしょうか。
人材×ブロックチェーンプロジェクト
ここからは実際に人材×ブロックチェーンで前述の課題の一部を解決させようと立ち上がっているプロジェクトをご紹介します。
SUKILL COIN
個人が持つスキルや職務経歴をブロックチェーン上で管理することで、企業が求めるスキルと就職希望者が実際に有するスキルとのギャップによる人材のミスマッチを防ぐことを主目的として立ち上がったプロジェクト「SUKILL COIN」です。
注目すべきポイントはスキル情報の正確性の担保をどのように取るかという点ですが、スキルコインでは、自身で記載したスキル情報を、自分をよく知る人物2人以上に証明をリクエストし、2名以上が承認してくれたらその情報は正しいとしてブロックチェーン上で管理すべきスキル情報となります。
また、証明リクエストを受けた方がスキルコインに未登録の場合は登録招待メールが届き、承認者自身もまずは登録をして2名以上の承認を誰かから受けなければなりません。
この点で、相互に承認し合うということができないため、正確性は担保されますし、証明の承認者が多ければ多いほどその人の経歴書の信用度は高くなる仕組みとなっております。
Aworker
雇用のプロセスには様々なプレイヤーが絡みます。
特に外国人労働者の場合はより多くの手続きも発生するため雇用するまでのタイムスパンが長くなる傾向にあります。
Aworkerでもスキルコインと同様に嘘のない経歴書をアップロードさせ、その上で、スマートコントラクトも活用することで契約も円滑に進め、雇用1回当たりのコストを最大4倍減らすことが可能となるプラットフォームを目指しています。
まとめ
今回ご紹介した2プロジェクト、スキルコインは日本発のプロジェクトであり、Aworkerはアメリカ発のプロジェクトです。同じようなプロジェクトが同じような時期に立ち上がったということは、人材業界における人材のミスマッチや雇用プロセスの遅れ、そして経歴書の誇張などは万国共通で課題となっていることが分かりました。
今後も、人材×ブロックチェーンでエージェントや求人、そして求職者側の対応も変わって来るのではないでしょうか。

スキルコインのメンバーはあのゲーム会社で有名なDeNAの方たちなのじゃ!

そうなんですね!DeNAもブロックチェーンに興味持っているということですね!

元々ゲームとトークンの親和性が非常に高いというのもあるからの。ゲーム会社としては一度は見て触れておきたいものじゃろう

Aworkerのメンバーはどんな人なんですか?

AworkerのCEOはシステム開発会社では世界トップクラスのSAPという会社の人なのじゃ。どちらも技術力に裏付けのある、信頼出来そうなプロジェクトじゃろ!

そうですね!今後も目が離せません!