トークンエコノミーとは?可能性と活用事例について
最近何かと話題の「トークンエコノミー」という言葉、なんとなくわかるものも正確に説明してくださいと言われるとわからないという方も多いのではないでしょうか。今回はトークンエコノミーの概要を説明しつつ、代表的なトークエコノミーの事例であるLINEトークンエコノミーや、GMOトークンエコノミーを例に挙げてわかりやすく解説します。


今日は「トークンエコノミー」について解説するぞ。

あ、トークンってなんか聞いたことあるような・・

お、少しは勉強しておるな。トークンは個人や企業が発行した硬貨の代わりに用いられる代替貨幣なんじゃ。

家電屋さんのポイントみたいなものなのかな??

そうじゃ!それもトークンの一つなんだ。それを用いた経済圏を「トークンエコノミー」と呼ぶんだ。

経済圏。。ん〜ちょっとわからなくなってきた。。今日も勉強させて博士!
トークンエコノミーとは?
トークンエコノミーとは、「トークンという代替貨幣を用いた経済圏」のことをいいます。
これまでの資本主義社会では、実際の紙幣など法律に基づき政府や国が発行した貨幣や、金などの貴重品が通貨として、商品やサービスと交換され、経済圏が成立してきました。
例えば、日本だと日本円の経済圏、アメリカだとドル建ての経済圏ということになります。
トークンエコノミーでは、特定のサービス事業者が代替貨幣としてのトークンを発行し、それをユーザーが購入して使うことで、トークンに経済的価値が生まれ、トークンエコノミーが成立します。
仮想通貨のトークンエコノミー
近年のインターネットの爆発的な普及に伴い、インターネット上のトークンとして、ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨が流通するようになりました。
例えば、インターネット上のゲームやコンテンツなどの決済に、現実の通貨を使わなくても、仮想通貨で簡便に決済ができるようになりました。貨幣としての価値は、その通貨への人々の信頼があってこそ成り立ちます。発行数や価格が表示された取引条件通りでなければ、通貨としての意味を成しません。
公表されている発行数より実際には大量にトークンが出回っていた場合、想定していたよりも1トークンあたりの価値はぐっと下がってしまいます。
トークンの価値を担保する機能として、ブロックチェーンが存在します。
トークンの発行された数や取引がブロックチェーン上で公正に記録されるので、トークン発行者による恣意的な操作が不可能になり、トークンの価値が担保され、人々が安心して通貨として利用できるようになるのです。第三者が承認すれば、そのあとに発行者が操作することはできなくなります。
トークンエコノミーの可能性
インターネットの普及により、ビジネスや経済もボーダーレス化しています。そのため、現在の法定通貨のように、国や地域によって異なる通貨を使うのは徐々に時代のニーズに合わなくなってきています。
仮想通貨を使えば、多国籍ビジネスであっても、決済も給与の支払いも共通トークンで済ますことができ、非常に効率が良いです。
近い未来、こういったトークンエコノミーが数多く出現し、現在のリアル通貨による経済社会が大きく変革されていく可能性があります。
事例1「LINE Token Economy」構想
チャットサービスで有名なLINEは、いまや日本人のほとんどが使っているコミュニケーションツールといえます。LINEは、チャットサービスのほか、エンタメや金融など幅広い事業展開をしていますが、そういったサービスの決済に使うことができる仮想通貨であるLINKコインのリリースを発表しました。
LINKコインは日本のLINE株式会社の子会社であるシンガポール法人が発行者となる仮想通貨です。LINEグループが独自で運営するLINKチェーンというブロックチェーンのうえに、ゲームやチャットなど様々なアプリを乗せ、それをLINKコインで決済することができるようにすることで、いわばLINE経済圏を作るという構想になっています。
また、LINKコインの保有数や使用数に応じて、LINEポイントというLINEサービス上で通貨として利用できるポイントをおまけとしてもらえるサービスもあり、LINE内部のみで経済圏として成立する仕組みを構築しています。
これまで、国家単位だった通貨や経済圏の単位が、会社というより限定的な範囲に移り変わっていく過程が1つのロールモデルとして非常に興味深いです。
さらに上場会社ならではの、株式の発行とトークンを絡めた試みをしているところも注目です。
LINEは、世界初となるトークン転換権付き株式という新株を発行しました。株式の売買はこれまで現金による売買で流通されていましたが、この株式は先程のLINKコインとも変換することができます。LINKコインは今年リリースされたばかりの新しいものですが、今後の動向によっては、価値があがり、株式や現金よりもLINKコインで保有していたいという選択肢も出てくる可能性があります。
そうした人のためにトークン転換オプションをつけた株式を発行することで、LINEの株式を買いたいという人の裾野が広がり、より資金調達がしやすい状況になるかもしれません。
事例2「GMOオープンソースブロックチェーン」
トークンエコノミーの面白さは、国家よりも小さな単位での経済圏を作れることです。活用方法の一つとして、地域トークンとして、市区町村や県レベルでの地域通貨をつくることにより地域の活性化を目指そうというアイディアがあります。
GMOインターネット株式会社が公開した「地域トークン」のオープンソースは、こうした地域トークンを広げる可能性があるものです。
このオープンソース「地域トークン」を利用すると、地方自治体や企業などが、独自のトークンを発行することができます。トークンを1から発行しようとすると、コストや手間がかなりかかります。例えば、運用のために専用サーバーを置いたり管理運営のための管理事業者を置いたりする必要があります。
なお、オープンソースとは、ある技術の普及を促すために、技術を無料で自由に利用することを許すことをいいます。利用者は自由に利用できる代わりに、利用した結果の追加開発物を他者に同様に自由に利用させることを許諾しなければなりません。
「GMOの地域トークン」は、イーサリアム上で動作するトークンプログラムです。イーサリアムは、現在広く活用されているブロックチェーンのプラットフォームのひとつで、スマートな契約の実現や、分散型アプリケーションの構築ができるという優れた特徴を持ちます。
オープンソースを使うと、GMOのブロックチェーンが利用できるので、簡単にトークンの発行や運用を行うことができます。
最近はインバウンドなどで海外からの観光客も多いので、このチャンスを利用して、自治体や商店街など小さな地域コミュニティの加盟店でのみ使える仮想通貨を発行し、その通貨の利用に応じてお得なポイントを発行すれば、その地域を訪れて消費を促すインセンティブとして機能することが期待できます。
少子高齢化が進む日本では、働き手となる若年層が東京に移り住み、過疎化が進んでいます。しかし、都市部への人口集中は、都市部での混雑の激化と地方の弱体化という深刻な問題をもたらします。
これを解決するためには、地域を活性化していく必要がありますが、地域トークンはそのソリューションの一つとなりうる可能性を秘めています。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。トークンエコノミーはこの6年ほどで、急速な進化を遂げてきたと言われています。ブロックチェーンの実用化がすすめば、現在の法定通貨中心の経済圏とは全く違った経済圏、社会が生まれてくることが想定されます。今後もビジネスの展望からもトークンエコノミーは目が離せませんね。